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全国屈指の進学校の花園出場に「歴史が動いた」

 全国屈指の進学校、埼玉県立浦和高校が先月16日、全国高校ラグビー埼玉県大会決勝で県立深谷高校を14―7で破り、54年ぶり2度目の全国大会出場を決めた。

深谷とはこの5年、決勝で4回当たり、ことごとく負けてきた。悲願の勝利でツイッターは投稿の嵐となり、「埼玉新聞は号外を出さないのか」などと大騒ぎ。ラグビーファンは「歴史が動いた」と沸き立っている。

「公立の学業の名門校では近年、秋田や福岡が全国大会に出ている」(高校ラグビーに詳しいスポーツライター)。いずれも偏差値70以上とされる。古くは1987年、橋下徹(現・大阪市長)を擁する大阪の府立進学校・北野が、46年ぶり出場で3回戦まで進出し旋風を巻き起こした。さらにブランクが長かった浦和は、一部調査だと今年の東大合格者数が高校別で10位、公立ではトップ。

小林剛監督(39)によれば、3年生は「みんな国立大志望」。大阪・花園ラグビー場で行われる全国大会は今月27日に開幕する。柴田尚輝主将は「文武両道を掲げるチームだけど、花園に集中したい。2勝して年を越すと、すぐセンター試験ですが」。決勝トライをキメた室田浩輔も「受験のことも考えようと思うけれど、花園でラグビーをすることを優先したい」と語る。

練習は週6日、2時間半から3時間。部としては特段、勉強への配慮はしていない。小川洋一部長(58)によれば「年に1人か2人が東大に入る。いま東大、京大、一橋のラグビー部に2~3人いる」。ただ一浪進学は“伝統”と言われる浦和にあってラグビー部も例外ではなく、「毎年二十数人の3年生で、現役進学は2~3人」とのことだ。
 

浦和は、50年代にサッカーで2連覇を含む3回の全国選手権優勝を経験。全国高等学校クイズ選手権でも05、06年と連覇している。ラグビーも「花園で年を越したい」(小林監督)と期するところは大きい。